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避けられない環境対応 ~なぜ、ZDHC適合が求められるのか?~

2022.04.26

CSR

繊維製品のサプライチェーンに関わる企業にとって避けては通れない環境問題。
今回は、ZDHCの最新動向とNICCAの取り組みについてご紹介します。

■ZDHCとは?
ZDHC (Zero Discharge of Hazardous Chemicals; 危険化学物質の排出ゼロ) とは、消費者、労働者及び環境を守るために、テキスタイル、アパレル、レザー及びフットウェア産業において、イノベーションと最良な実践例を推進し、持続可能な化学を広い範囲で実装することをビジョンに掲げ、アパレル製品のサプライチェーン全体で、化学物質の適正管理を行なうことを目的として活動している団体です。「有害化学物質の排出ゼロ」に向け、業界で統一されたツールやガイドラインを開発しています。
グリーンピースのデトックスキャンペーンに対応し、「有害化学物質の排出ゼロ」を推進するために、アパレルブランド6社が2011年にZDHCの前身となる企業連合を結成。その後、2015年にZDHC財団が設立され、ブランド、小売業、サプライヤー、検査機関及び化学メーカーなど160社以上がこの活動に参加し、グローバルに活動しています。
ZDHCは繊維製品などの製造時に意図的使用を制限する化学物質リスト (ZDHC MRSL) を公表しています。NICCAは2015年からZDHCの方針に応じてZDHC MRSLの規定値内の自社製品リスト (ZDHCポジティブリスト) を当社ホームページで公開してきました。そして2018年に日本企業で初めてZDHCに加盟しました。

 
※NICCAのZDHCポジティブリストはこちら

■アパレル・スポーツブランドの環境対応
環境問題が注目を集める中で、アパレル・スポーツブランド各社は独自の制限物質リスト (RSL) を作成し、毎年、サプライヤーである加工業者にRSLへの適合証明の提出を求めるケースが増えています。RSLはREACHの高懸念物質 (SVHC) の更新などに合わせ半年毎に更新されるほか、アパレルブランド毎にRSLの内容が異なるため、報告書の提出に相当な労力を必要とします。
一方で、GRS (Global Recycled Standard)※1認証、SAC (Sustainable Apparel Coalition)※2の化学物質管理基準にZDHC MRSLが用いられていることから、アパレルブランドなどもZDHC MRSLを自社の基準として採用するケースも増えています。
ZDHC MSRLに適合した登録製品を使用している場合、ZDHCのデータベースであるGatewayを利用した「InCheck Report」を入手することで、ZDHC MRSLに対応した化学品の比率を簡単にアパレル側に報告することができます。
NICCAはZDHC Chemical GatewayにZDHC MRSL Level1 (約80品) 、Level3 (約300品) を登録していますので、登録製品をご使用頂くことで、「有害化学物質の排出ゼロ」に向けた取り組みや、GRS認証取得、アパレル・スポーツブランドへの報告にかかる労力を軽減することが可能です。

■ZDHC最新動向 ~求められる排水管理と水使用量の削減~
ZDHCが提唱するOutput管理の柱となるのが『Waste Water Guidance (WWG)』です。WWGが定める排水基準は国や地域が定める基準よりも厳しいことが多く、年2回の測定と報告が義務付けられています。
WWGは2022年3月に大幅改訂され、従来の水質管理からスラッジを含む全体管理となりました。排水全体の物質収支が管理対象となったことから、MRSL認証品 (Level 1以上) の使用有無や、排水及びスラッジでのMRSL検出懸念がないことが求められます。さらに水使用量も将来の監視対象となることが明記されたことにより、繊維加工における水使用量の削減が求められると予想されます。

■NICCAが貢献できること
NICCAはZDHCに加盟する化学品メーカーとして、ZDHCが推進する「有害化学物質の排出ゼロ」の実現に向けて、MRSL Level1及びLevel3対応製品による加工処方の確立を通して繊維業界に貢献していきたいと考えております。MRSL対応製品は当社ホームページにポジティブリストとして掲載されています。 NICCAの海外拠点毎に製品リストがまとめられていますので、ぜひご利用ください。
 

※1:GRS(グローバルリサイクルドスタンダード)は、2008年にControl Union Certificationsによって策定され、2011年に所有権がTextile Exchangeに譲渡された認証プログラム。リサイクル含有物、加工流通過程管理、社会および環境慣行、化学物質規制の第三者認証の要件を設定する国際的な製品基準。
※2:SAC(サステナブルアパレル連合)は、アパレルやフットウェア、テキスタイル業界の環境負荷を抑えたサプライチェーンの構築と労働環境の改善を目指し、2011年にアメリカで設立したNGO。2012年に環境・社会負荷の測定ツールであるHigg Indexを開発。加工場に対し、同ツールを用いた情報開示を求めるアパレル企業も増えている。


【参考:ZDHCの化学物質管理システム】
ZDHCは「インプット管理」、「プロセス管理」、「アウトプット管理」で化学物質を管理します。
(1) インプット管理には「ZDHC MRSL」と適合性ガイダンス、そして世界最大のデータベースといわれる「Gateway」を利用します。化学品メーカーはChemCheck Reportを、サプライヤーはInCheck Reportを発行することができます。ChemCheck Report はZDHCが発行する証明書で、化学薬品がZDHC MRSLに準拠することを証明します。InCheck Reportはサプライヤーの化学品在庫がどの程度ZDHC MRSLに適合しているかを示すもので、アパレルに開示することができます。
(2) プロセス管理は「化学物質管理システム・フレームワーク」と「テクニカルインダストリーガイド」を基本にして、サプライヤーを対象に「Supplier to Zero」プログラムを展開しています。これはサプライヤーにとっての持続可能な化学物質管理への入り口で、ZDHCの化学物質管理システムに基づく自己評価から始まり、Gatewayを利用して自社の達成度をアパレルに紹介することができます。
(3) アウトプット管理は「ZDHC 排水ガイドライン&排水処理技術」を基本とし、Gateway排水モジュールを利用して自社の排水管理結果をClearStream Reportでアパレルに紹介することができます。「ZDHC 排水ガイドライン」は2022年3月にversion 2.0が開示され、スラッジの処理も規制対象に含まれるようになりました。

詳しくはZDHCホームページをご確認ください。
https://www.roadmaptozero.com/

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